アドバイス

 「何か記憶に残っているアドバイスはありましたか?」勤務先の中学テニス部コーチのEさんが尋ねてきた。すぐには思い浮かばなかった。しばらくして思い出した。

 ”ぴょんぴょん跳ねているようだけれども、あのプレーヤーの眼の高さが同じで視線が全くぶれないね。見習おう!”、と中條(ちゅうじょう)さんのアドバイスを思い出した。私はラケットの振り方ばかり考えていたときのことだった。30年前のことだ。あのプレーヤーとは、10代で世界ナンバー1になったシュテフィ・グラフ(西ドイツ)のことだった。

 中條さんは、故郷、雪国の上越市の高校ソフトテニス部を指導し、全国優勝を達成した。冬の早朝の体育館練習がもたらしたという。その後、全日本チームの監督を務めた。