アウェイとホーム

 「うちのメンバーは今日はみんなおとなしいのです。」

 「なぜですかね。」

 「アウェイだからです。例えると、動物園にいた動物たちがサファリパークに移されたという感じでしょうか。」

 「居心地がしっくりとせず、よそ者感があるようです。」 

 勤務先の中学テニス部は久しぶりにアウェイで対抗戦を行った。完敗だった。

 「同種の生物どうしは無用な争いをしないように、同じくらいの力では自分の縄張りにいるほうが強い、と頭に刷り込まれているのです。圧倒的に強くなければアウェイで勝てないのです。」

 「なるほど、そういうものですかね。では、中立地での大会ではどうすればいいのでしょうか?」

 「対戦相手よりも先に会場に着くのです。そうすると、アウェイ意識が弱まり、ホーム意識が強くなるそうです。」