「スライスができないのです。打ち方を教えてください。」勤務先の中学女子テニス部員から聞かれた。ふと、考えることがあった。できないことができるようになるとはどういうことだろうか。
①できない→できる、という変化を起こすためには、これまでやったことのない仕方で体を動かさなければならない
②そのためには、意識が、正しい仕方で体に命令を出さなければならない
③しかしながら、それをやったことがない以上、意識はその動きを正しくイメージすることができない
④意識が正しくイメージできない以上、体はそれを実行できない。
自分の体を意識で完全にコントロールすることができるとしたら、新しい技能を獲得できないことになる。これを”技能獲得のパラドクス”というそうだ。
よって、自分の体を完全にはコントロールできないからこそ、新しいことができるようになるのです。
「体はゆく」文藝春秋 伊藤亜紗著より引用
つづく。